for Irving

師Irvingに捧ぐ

山本周五郎短編−2

古今集巻之五」

65首からなる巻第五秋歌下はいきなり著名歌から始まる。

249   文屋康秀

     吹くからに 秋の草木の しをるれば

               むべ山風を 嵐といふらむ

277    凡河内身弓恒(身と弓で一文字)

      心あてに 折らばや折らむ初霜の

                置きまどわせる白菊の花

294     業平朝臣

      ちはやぶる 神代もきかず龍田川

                 韓紅に 水くくるとは

 

どなたでもご存知の和歌がズラリと並んでおりまして この物語とは特にリンクしない。杉江が細野源三郎から贈られた草紙が「古今集巻之五」であったということか。勅撰和歌集の秋歌編である事のフィールが 世間では決して許されない二人の象徴となった。